眼瞼下垂の治療が保険適用になるケース
眼瞼下垂の治療が健康保険の適用となるのは、「まぶたが開けにくく、日常生活に支障をきたしている場合」や、「まぶたが下がることで視野が狭くなっている場合」など、中等度から重度の眼瞼下垂と診断された方が対象です。
こうした症状がある場合には、「眼瞼下垂症」として診断され、視野の改善や機能回復を目的とした治療・手術に対して保険が適用されます。


眼瞼下垂の重症度
眼瞼下垂の重症度を評価する指標のひとつに、「瞼縁角膜反射間距離(Margin Reflex Distance:MRD)」があります。
MRDは、瞳孔の中央に入る光の反射(角膜反射)と、まぶたの縁との距離を測定するもので、MRD-1は上まぶたと角膜反射の距離、MRD-2は下まぶたと角膜反射の距離を示します。特に上眼瞼の開き具合を評価する際には、MRD-1が重要な指標となります。
MRD-1の値に基づいた眼瞼下垂の重症度は、以下のように分類されます。

眼瞼下垂の治療法
眼瞼下垂は、薬剤による治療ができないため、根本的な治療には手術が必要です。
目元は視覚機能だけでなく見た目の印象にも直結するため、治療にあたっては機能性と整容性の両立が求められます。そのため、症状や原因に応じて複数の術式が存在し、患者様一人ひとりの状態に応じた手術法が選択されます。
挙筋前転術(または挙筋短縮術)
挙筋前転術は、後天性眼瞼下垂の治療として最も一般的な手術法です。まぶたを引き上げる筋肉である「眼瞼挙筋」や、その力をまぶたに伝える「腱膜」が加齢、外傷、長期間のコンタクトレンズ使用などにより緩むと、まぶたが開きにくくなります。
この手術では、緩んだ腱膜を正しい位置に縫合し、眼瞼挙筋の力がまぶたにしっかり伝わるように修復します。これにより、視野が広がるだけでなく、眠たそうな目元の印象が改善されるため、機能面と整容面の両立が期待できます。
眉下切開術
眉下切開術は、まぶたの皮膚が加齢などでたるみ、視界の妨げとなっている場合に行われる手術です。挙筋の機能が保たれているものの、余分な皮膚が原因でまぶたが重くなっている方に適しています。
手術では、眉毛の下縁に沿って皮膚を切開し、たるんだ皮膚と、必要に応じて脂肪を切除します。眉の形に沿って傷が隠れるため、術後の傷跡は目立ちにくく、自然な仕上がりが期待できます。
前頭筋つり上げ術
前頭筋つり上げ術は、先天性眼瞼下垂や重度の下垂で、眼瞼挙筋の働きが著しく低下している場合に行われる手術です。まぶたを引き上げる力がほとんどない場合でも、額の筋肉(前頭筋)の動きを利用して、まぶたを開くようにします。
この術式では、まぶたと前頭筋を連結するために、大腿筋膜などの自己組織や医療用人工素材を用いてつなぎます。これにより、額を上げる動きに連動してまぶたが開くようになります。術後は、額の筋肉を使って目を開ける感覚があるため、最初は違和感を覚えることもありますが、日常生活を通じて徐々に慣れていきます。

当院で行う眼瞼下垂の治療
当院では、保険診療による眼瞼下垂の手術を行っております。主に採用している術式は、挙筋前転術(または挙筋短縮術)および眉下切開術です。
※患者様の状態によっては前頭筋つり上げ術を行う場合もあります。
挙筋前転術と眉下切開術の適応の違い
眼瞼下垂に対する手術は、原因に応じて適切な術式を選択することが重要です。その中でも、「挙筋前転術(挙筋短縮術)」と「眉下切開術」は、原因や症状の違いによって適応が分かれます。
挙筋前転術(挙筋短縮術)は、まぶたを持ち上げる筋肉の腱膜がゆるむことで、まぶたが下がっている場合に適応されます。一方、眉下切開術は、まぶたの皮膚のたるみが主な原因で視野が狭くなっているような場合に有効です。
たとえば、腱膜のゆるみが原因で発症した腱膜性眼瞼下垂の患者様に対して眉下切開術を行っても、十分な効果が得られにくい傾向があります。一方でまぶたのたるみが主体の中等度の下垂であれば、眉下切開術によって十分な改善が見込めます。
このように、眼瞼下垂の手術においては、個々の患者様の状態を正確に診断し、それぞれに適した術式を選択することが非常に重要です。当院では、目元の構造や病態はもちろんのこと、患者様のご希望やライフスタイルも考慮しながら、適切な治療法をご提案しております。
眼瞼下垂の治療の流れ
初診・術前検査
初診では、診察と問診、各種検査を行い、まぶたの状態を詳しく確認します。そのうえで、手術が適応となるかを判断し、適応がある場合は、患者様のまぶたの状態に応じた最適な手術方法をご提案します。治療内容にご納得いただけましたら、手術日を決定します。
手術
ご来院後、まず心電図や血圧計を装着し、全身状態を確認したうえで、まぶたの手術部位を丁寧に消毒し、手術を開始します。手術時間はまぶたの状態によって異なりますが、おおよそ1時間から2時間程度で終了します。
痛みについては、最初に行う局所麻酔の際にわずかに感じる程度であり、手術中はほとんど痛みはありません。当院では、極細の注射針を使用し、麻酔薬の注入速度にも配慮することで、麻酔時の痛みをできるだけ軽減しています。
手術後の診察
手術後約1週間に抜糸を行うため、通常は1週間後にご来院いただきます。その後は、術後の経過を確認するため、1カ月後・3カ月後・6カ月後に診察を行い、傷の治り具合やまぶたの状態をチェックします。
※術後の診察回数は、患者様の状態によって異なる場合があります。
眼瞼下垂の治療費用
| 手術名 | 片目 | 両目 | 別途費用 |
|---|---|---|---|
| 挙筋前転術 (または挙筋短縮術) | 約21,500円 | 約43,000円 | 診察料・処方料 1,000円程度 検査費用 1,000円程度 |
| 眉下切開術 | 約18,000円 | 約36,000円 |
※費用は自己負担3割。
当院では、保険診療の適用となる眼瞼下垂の患者様に対し、治療を行っています。保険適用で治療を受けた場合の治療費用は、以下の通りです。
詳しい金額や自己負担額については、診察時にご案内いたしますので、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

06-4309-6115









